デザインにも色々あるが、今回はグラフィックデザインとは何かについて考えてみた。
私はプロのグラフィックデザイナーとしての経験は長く、20年以上になる。
私が今までの経験から考える「グラフィックデザインとは」について書きたいと思う。
グラフィックデザインとは
文字や画像、配色によって、伝えたい情報を、視覚的にわかりやすく、魅力的にデザインすること。
これまでは、印刷を中心とした制作での平面デザインに関することを指すことが多いと思うが、近年ではそれに留まらず、グラフィックデザイナーが、動画、WEBまで活動領域を広げることも増えている。
なぜ、そのような流れになるのかを実際の私の経験から説明すると、私はフランスに渡る前は日本で10年間プロのグラフィックデザイナーとして活動していた。
プロにも色々な定義があるし、デザイナーは国家資格ではないので、全くの素人が「デザイナーです!」ということも違法ではない。ここでいうプロというのは、クライアントから依頼を受けてデザインをし、報酬を受け取るという流れを指している。
つまり、「仕事として成立しているかどうか」これが私が思うプロデザイナーの定義だと思う。
話は戻って、日本でのデザイナー活動を経てフランスに渡ってから、グラフィックデザインを気に入っていただくことで仕事が広がった。
例えば、グラフィックのデザインを依頼された人が、次は、WEBもお願いしたい。
そしてWEBも気に入っていただくことで、では動画はできますか?SNS配信は?と、活動の幅がどんどん広がっていった。
はじめは、プロとして専門分野以外のことを行うには、最低限の知識が必要だと思って、「自分はグラフィックしか専門ではない」と断っていた。
でも、多くの人が「ぜひWEBデザインもやってほしい。」と言ってくれ、さらに「ではバナーやTOPページのメインビジュアルだけでも・・・」「WEBをやっていないなら、私がWEBをできる人を探してくるので、デザイン監修をしてほしい。」という依頼までいただくようになった。
ここまで来ると流石に「では、WEBデザインをできる人と組んで仕事を受けよう」と思った。
そして、今では自分でもWEBデザイン業務を行えるまでになった。
そのデザインの根本となるものが、ロゴなどのグラフィックデザインだ。
例えば、私に依頼される時、トータルデザインでは以下のような流れが一般的だ。
グラフィックデザインはブランディングの土台になる
上の表のロゴはグラフィック分野になるが、これをベースに全てが広がっていく。
なので、グラフィックデザインはこうしたトータルデザインの基本となるものだと私は思う。
デザイナーは、この工程の一部を任されることが多い。
例えば、ロゴのみ作成をし、そのロゴをWEBデザイナーに渡して、今度はWEBデザインを作成するという感じだ。
AI時代のデザインと、トータルデザインの価値。

そして、私が行なっているのは、この工程の全てだ。
この工程の全てをデザインし、制作していくことを私は「ブランディングデザイン」と呼んでいる。
昨今では、AIにより簡単にロゴやデザインはできるが、このトータルデザインをクライアントの目的達成のために行える人はまだまだ少ない。
また、この工程の一部を任されるだけでなく、デザイナーとしてトータルデザインができることは、最高のクリエイティビティだと私は感じており、私はデザインをすることに強いやりがいと喜びを感じる。
デザインの目的は、クライアントの目的達成だが、それにはデザインだけではなくマーケティングの知識が必要になる。そうなると、ターゲット層の文化を理解する必要がある。
私は日本に生まれた日本人だが、15年ほどフランスで暮らした。滞在許可を得るために並んだり、仕事をするため、子供の学校の手続きのため市役所やアカデミーとのやりとりをし、健康保険などの手続きもやってきた。
そういう泥臭い一歩一歩の経験があったからこそ感じることができる、地に足をつけた者にしか見えない外国というものがあることを知った。
海外旅行等で見えるものとは違い、このような日々の生きるために行わないといけないこと全てが文化であり、それをベースにフランス人もそこに住む外国人も含めてフランスの文化は花開いてきて今日に至るのだと思う。
デザイナーとして大切にしてほしいこと
もし、あなたが今後、デザイナーとしてやっていくなら、自分の原点というものを大切にしながら、デザインを深めていくことにより、世界でも通用するデザイナーになれると私は思う。
話が逸れたが、このようにグラフィックデザインは、デザインの基礎となる場合が多い。大変面白い分野だと思う。


