スタンダードに、まずは求人チェックから
前回に続き、さて─
「子ども2人をフランスで養うには、どうすればいい?」
とりあえず、求人を見てみました。
フランスには、日本でいうハローワークのようなものがあります。
その名も Pôle emploi(ポール・アンプロワ)。
登録しておくと、たまに「あなたのスキルならこんな仕事はどう?」なんて案内が届いたり、
窓口に行けば直接相談もできる。
調べてみると、デザイン関係の仕事で意外と好条件のものもあり、正直、心が少し揺れました。
でも─勤務地はパリ。
家からそう遠くはないけれど、フランスでは小学生の送迎が親の義務。
もしパリまで働きに出るなら、子どもたちは習い事を諦めることになる。
しかも、フランスで暮らす日本人は
英語もフランス語もできて当たり前の、ハイスペックな人が多い。
日本なら高収入のはずのそのスキルも、
ここではスミック(最低賃金)で雇われることが少なくない。
─そう。
「外国人が外国で働く」というのは、
想像以上に、現実的には厳しいものだったりする。
日本でもやってた自営をもう一度。
そうなると、もう選択肢はひとつ。
自分で起業して、デザインの仕事を受けるしかない。
幸いなことに、日本でも事業登録をしていたので、一連の流れや確定申告の仕組みはある程度わかっていた。
ちなみに私は、フランスで事業登録して8年になりますが、日本での経験(見積書や請求書の作成、確定申告など)が
フランスでも本当に役立ちました。
とはいえ、当時は「じゃあ、実際に何をすれば起業できるの?」
どこに行けばいいの?税務署?
と、そこから分からなかった。
日本では最寄りの税務署に行って登録したけれど、フランスでは税務署は確定申告の管轄。
起業手続きの窓口は、税務署ではないらしい──。

フランスと日本事業登録の違い。
調べたところ、登録方法はURSSAFのサイトから登録すれば出来ると分かった。
文章だけみると、簡単そうだが、全然簡単じゃなかった。
フランスでは、働くにも何をするにも滞在許可証が必要。しかもその種類(身分)によっては、働けない場合も結構ある。
事業登録よりも前に、そもそも「働くこと」を国から許可されていないと行けない。
そこで、滞在許可の身分変更をするのですが、うまくいかないと日本に帰国しないといけないという厳しい現実がある。
滞在許可の身分変更できなくて、「XXまでにこの国から出てください」という案内が来たという話もよく聞く。そのまま居残ればもちろん違法滞在。それどころかもはや犯罪。起業どころの話ではない。
私の知り合いも、学生からの働ける滞在許可の申請を却下されて日本に泣く泣く帰国した人もいる。
中には、「滞在許可のために偽装結婚した」という話まで聞く。
確かに滞在許可証がなければ、日本でいう健康保険や補助、確定申告もできない。
よく、滞在許可については、YouTubeやインスタで、「私の体験談」を配信している人も多いが、滞在許可証などは本当に人によって違うので私はそれを鵜呑みにするのはおすすめしない。
Aさんが出来てもBさんは却下される国フランス。
例えば学生から職業ビザに変更するにしても、勤続年数や業種によって異なる。なので、相談するなら滞在許可書の取得のサポートをしている弁護士だ。
弁護士への相談も、フランスでは日本のように「30分のちょっとだけ相談」というのは見たことないが、Franceaideでは会員は有料で弁護士の先生に30分相談できる。
ちなみに、日本人会では、会員は30分5ユーロで相談できる。ただ、日本人会は回数制限があるので同じ問題に継続しての相談はできない。その点、FranceAideでは回数制限がないので何度でも相談できるし、事前に弁護士が相談内容を確認してから相談に乗ってくれる。
だから、心配な人やまずは専門家の意見を聞きたいという人にはピッタリ。
まずは、事業登録のための滞在許可証。
ただ、幸いなことに私はこの難関はすでに突破していた。私の滞在許可証には「労働可」と書かれている。
よし!それだけでもうかなり幸運なことだ。
さぁ、URSSAFに登録。
では、さっそく事業登録をしようと思いサイトにアクセスしてみる。
でも、事業内容の選択肢が山ほどあり、私の仕事がどれを選べばいいのかすらよく分からない。
ここを間違えたらどう考えてもまずい。
しかし、こんなことで滞在許可などでお世話になっている弁護士の先生を頼るのも申し訳ないので、弁護士の先生は最終的な確認の時にお願いすることに決め、まずは自分でやってみようと思った。
でも、やはり難しい。しかも、今よりシステムは古く、使いにくかった。
そもそも、日本語でも難しい内容は、フランス語だとより難解になる。
そんなとき、ふと頭を過ったワードは「在仏日本人会」。
過去に起業した人に「どうやって起業したの?」と聞いたら「日本人会で聞いた」と返事があった。
あの「日本人会」だ。私ももちろん会員だ。
まずは窓口に行き、相談したい内容を伝え質問をしたところ、快く一緒に確認しながら進めてくださるという神対応。
今でも私は日本人会に足を向けて寝れない。
こうして登録をし、弁護士の先生に最終確認してもらい無事に登録完了。
しばらくすると、郵送で登録完了と自分のSiret番号などが記載された紙がURSSAFから届いた。よし!

パリデザインサロンでは現在こうした起業サポートのお手伝いや専門家のご案内もしています。
お気軽にお問い合わせください。
\起業のサポート/

